2022年 ISC2 Blog 和訳

2022年10月26日

ISC2が2022年のGLOBAL ACHIEVEMENT AWARD の受賞者を発表

ISC2は、サイバーセキュリティ業界への多大な貢献が認められたセキュリティ専門家に贈られるGLOBAL ACHIEVEMENT AWARDの受賞者を発表しました。この賞は、より安全なサイバーワールドへの取り組みに対しての優れた業績を称えるものです。受賞者は、ラスベガスで開催されたISC2 Security Congress にて表彰されました。

ISC2 Senior Professional Award

情報セキュリティ人材向上のイニシアチブ、プログラム、またはプロジェクトにおいてリーダーシップを発揮し、情報セキュリティ人材の強化に大きく貢献した個人を表彰するものです。

2022年の受賞者:

Americas:

Shawn Harris、CCSP、CISSP、CISSP-ISSAP、Chipotle Shawn Harris, CCSP, CISSP, CISSP-ISSAP, Senior Director of Information Security and Compliance, Chipotle Mexican Grill

クラウドセキュリティとプライバシーのデファクトスタンダードとされるCloud Security Allianceのベストプラクティスに沿った、クラウドコンピューティングのためのサイバーセキュリティ制御フレームワーク、Cloud Controls Matrix(CCM) の開発と実装に携わった功績が認められました。

APAC:

Chou Yen Ju, CCSP, CISSP, Chief Information Security Officer, OneDegree Hong Kong Limited

保険業界が深刻化するサイバーリスクをより適切に管理するための手法である「デジタル資産リスクアセスメント」のプロジェクト開発に貢献しました。

このプロジェクトによって提供された方法論は、香港保険局によって審査および承認されています。保険会社/再保険会社は、この方法論に基づいて業界に保険補償を提供できます。

OneDegree は、デジタル資産取引所、カストディアン、ウォレットソリューションプロバイダーに保険を提供するAPAC で最初の保険会社であり、世界で2番目の保険会社です。このプロジェクトは、深刻化するサイバーリスクを管理するためのベストプラクティスを業界に提供するものです。Chou Yen Ju氏はタスクフォースを率いて、デジタル資産のリスク評価手法を保険取引に提供しました。これにより、引受担当者とサイバー専門家の間の知識のギャップを縮小するという Chou Yen Ju氏のビジョンが実現されました。この方法論は、デジタル資産のリスクを評価し、クライアントに保険適用範囲でリスクを管理するためのベストプラクティスを提供することができます。

EMEA:

Ali Isikli, CCSP, CISSP, Systems Security Engineering Manager, ASELSAN Inc.

システムのサイバーセキュリティの成熟度を評価、特定、評価するための顧客、内部開発、および管理の取り組みを統括するASELSANサイバーセキュリティチームを設立したことに対して表彰されました。このイニシアチブは、トルコの防衛産業に関係する10,000人以上の人々に影響を与えたと言われています。


ISC2 Mid-Career Professional Award

サイバー、情報、ソフトウェア、またはインフラストラクチャのプログラム/プロジェクトの重要なコンポーネントを管理または実装することに尽力し、功績を残した中堅の個人を表彰します。

2022 年の受賞者:

Americas:

Benjamin T. Koshy, CISSP, Chief Information Security Officer, Indian Health Service

従来はインシデント対応で使用するために情報システムからセキュリティログのごく一部をして収集するためにのみ使用されていたIndian Health Service の、セキュリティ情報およびイベント管理 (SIEM) システムのユーティリティを拡張したことに対して功績が認められました。これにより、Indian Health Service は、サイバーセキュリティログの要件を満たすだけでなく、IHS のミッション目的を強化するためのサービス分析も提供できるようになりました。

APAC:

Shakthi Priya Kathirvelu, CISSP, VP and Head of Information Security and IT, Funding Societies | Modalku Group

東南アジアの中小企業向けのデジタル融資および債権投資プラットフォームを開発する専任の情報セキュリティチームを構築し、指揮に尽力したことが評価されました。また、主要なネオバンクに進出して、安全な顧客体験を提供するとともに、事業展開する国々での規制遵守を確保したことでも評価されています。同組織の資金調達に貢献するだけでなく、組織が大きく成長した時期には、企業リソースの確保も実現しました。

EMEA:

Lucy Prudence Shenton, CISSP, Expert Associate Partner, McKinsey & Company

大手グローバル金融機関のサイバーセキュリティロードマップの構築における功績に対して表彰されました。Lucy Prudence Shenton氏は戦略的ビジョンを主導し、社内外のすべての顧客に最大の効果とデータセキュリティを推進するために、数百万ドル規模の取締役会レベルのコミットメントを確保しました。

このプログラムは、ユーザーエクスペリエンスの向上およびアイデンティティアクセス管理 (IAM) 機能のセキュリティ強化、さらにゼロトラストアイデンティティアーキテクチャの概念実証の実装に至るまで、アーキテクチャ設計を深く掘り下げたものでした。最終的にこのプログラムは、企業全体のデータの安全性と保護に貢献しただけでなく、何百万もの外部顧客と内部ユーザーに対して合理的なアイデンティティおよびアクセス管理プロセスを構想することで、組織の差別化に繋げることができたのです。



ISC2 Government Professional Award

ISC2 Government Professional Awardは、政府の情報セキュリティリーダーの中で、政府の情報セキュリティを向上させ、需要の高い人材を育成するために卓越した取り組みを行ってきた人物を表彰するものです。

2022年の受賞者

Americas:

Jermone Andre Leach, CAP, CISSP, Defensive Cyber Operations Lead, United States Coast Guard

業界標準に対する意識の向上と脅威の是正を確保するための努力に対して表彰されました。これには、International Defensive CyberのHunt Forward Operationsへの尽力も含まれます。




EMEA:

H.E.Dr.Mohamed Hamad Al-Kuwaiti, Head of Cybersecurity, UAE Government

サイバーセキュリティ分野におけるUAEのグローバルリーダーとしての地位を高め、国家のサイバーセキュリティ能力を向上させ、他国と協力して国家のサイバー防衛および対応メカニズムを改善することに貢献したことに対して表彰されました。UAE国家サイバー能力構築イニシアチブを主導し、UAEの国家サイバー回復力を向上させ、UAEのサイバーセキュリティ態勢を強化するためのいくつかの重要な側面に取り組む多面的なプログラムに取り組みました。

ISC2 Rising Star Professional Award

ISC2 Rising Star Professional Awardは、キャリアの早い段階で情報セキュリティ業界に大きな影響を与えた新進気鋭のプロフェッショナルの業績と貢献を表彰するものです。

2022年の受賞者

Americas:

Rajvardhan Oak, Applied Scientist, Microsoft

マイクロソフト広告のネットワーク保護チームにおいて、クラスタリングやその他の機械学習技術を使用して、特定の疑わしいソースから発信される質の悪いトラフィックを検出する新しいアルゴリズムを開発したことに対して表彰されました。

検出までの時間や原因究明までの時間を大幅に改善した重要なブレークスルーは、さまざまな異種データセット間で一貫した方法でデータを相関させ、グランドトゥルースを構築しました。

ISC2 Board Awards

ISC2 Board Awardsは、サイバーセキュリティ分野での優れた貢献と実績を評価するものです。以下の受賞者は、ISC2 Board of Directorsの手により選出されました。

ISC2 Diversity Award

ISC2 Diversity Awardは、ISC2の中核的価値観を代表する個人を表彰するもので、サイバーセキュリティ・コミュニティでより多様な労働力を推進することに多大な貢献をした個人を表彰するものです。

2022年の受賞者

Sarah B. Lee, Ph.D., Director, School of Computing Sciences and Computer Engineering, The University of Southern Mississippi

2019年、Sarah氏はラストマイル教育基金を共同設立し、コンピューティング専攻の大学生がコントロールできない課題に直面したときに財政的支援を提供しました。それ以来、この非営利団体は、学位取得のための経済的問題に直面していた1,200人の女性に資金を提供してきました。最近ではマイクロソフトから600万ドルの助成金を授与されました。

Sarah氏 が 2016 年に開始した Mississippi Alliance for Women in Computing (MAWC) プロジェクトでは、ミシシッピ州の女子学生とアフリカ系アメリカ人の女子学生が学部のコンピューティングまたはサイバーセキュリティ専攻に入学し、それを維持するよう影響を与え、動機づける要因を特定し、活用しています。プロジェクトでは、判別分析の手法を用いて、どのような大学入学前の経験が彼女たちの入学に影響を与えたか、彼女たちの意思決定プロセスに影響を与えた関係者は誰か、そして彼女たちの専攻科への継続に影響を与えるのに有効なプログラムは何かを分析しました。そこからチームは、10代や若い女性にコンピューティングやサイバーセキュリティに興味を持ってもらい、計算機的思考やサイバーセキュリティの知識と意識を高めるとともに、アライアンスとのパートナーシップを通じて今後の道筋を示すための活動を考案したのです。

MSAWCは、コンピューティングとサイバーセキュリティに対する女性の関心と参加を喚起し、学部のコンピューティングとサイバーセキュリティ専攻の女性の採用と定着率を向上させ、中等教育後の女性がコンピューティングとサイバーセキュリティの労働力に移行できるよう、引き続き支援します。

ISC2 CEO Award

ISC2 CEO Awardは、献身的で卓越したボランティア活動を通じてサイバーセキュリティ・コミュニティに大きな影響を与えたメンバーを表彰するものです。この賞は、毎年恒例のISC2 Global Achievement Awardsの中で最高の栄誉です。

2022年の受賞者

Andrew Smeaton, CISSP, Chief Information Security Officer, DataRobot, Inc.

アンドリューは、ウクライナ危機の中で窮地に陥った同僚とその家族のために危険を冒して救助活動を行った英雄的な行動が評価されたのです。同僚の家族を助けるために、自宅のあるマサチューセッツ州ボストンから4,500マイルを移動するなど、予想をはるかに超える献身的な働きぶりを見せてくれました。ISC2は、アンドリューのような人格、道徳的直感、人々への情熱が、安全でセキュアなサイバー世界を刺激し続けているメンバーを称えています。

ISC2 Chapter Recognition Awards

ISC2 Chapter Recognition Awardsは、安全・安心なサイバー世界の実現に向けて、ISC2のビジョンを最もよく推進している各地の公式Chapterに贈られます。各Chapterは、ISC2Chapterプログラムの中核となる重点分野である「Connect」「Educate」「Inspire」「Secure」を通じ、専門職と地域社会に多大な貢献をしながら、メンバーと加盟団体の利益になるように設計された活動やサービスを提供してきました。今年の各地域の2022受賞者は以下の通りです。

Americas:

New Jersey Chapter

パンデミックという難題を克服するために、Chapterは創造的なアプローチをとり、毎月のミーティングや他の組織との大規模な合同会議など、メンバーとのバーチャルなつながりに素早く適応し、また野外ピクニックも企画しました。同Chapterは、履歴書やパーソナルブランディング/能力開発ワークショップ、資格取得ブートキャンプ、メンタープログラムの開催、高校・大学・大学院など複数のレベルの学校との提携などにより、メンバーやサイバーセキュリティ専門家を支援しました。「Connect」「Educate」「Inspire」「Secureのさまざまなチャプターフォーカス分野にわたる取り組みは、グローバルに広がり、影響を与えています。

LATAM:

Mexico City Chapter

パンデミック初期に発足し、ことごとく逆境を乗り越えてきた新しいChapterのひとつです。同Chapterは、教育に関するオンラインミーティングを複数回開催し、大学と提携して学生がサイバーセキュリティの分野で活躍できるよう支援し、学校、州兵、警察署との連携を発展させて親子でサイバーセキュリティに対する意識を高めています。

APAC:

Colombo, Sri Lanka Chapter

このChapterは、教育、意識向上、多様性と包括性を支援するために、複数の組織とのパネルディスカッションや会議を開催し、地域社会とつながりました。1,046名が参加した第14回サイバーセキュリティ全国大会のパートナーとして、"COVID 19 Triggered Shift to Digital" と題したパネルディスカッションでモデレータを務めました。 また、学生向けにサイバーセキュリティのキャリアを目指すことを奨励するメンタープログラムやワークショップを開催しており、さまざまなセッションで50人以上の学生が参加するワークショップを複数回開催しています。

EMEA:

Hellenic Chapter

他団体との業界イベントへの参加に加え、複数のメンバーミーティングを開催しました。ニュースレターを創刊し、ソーシャルメディアを活用してメンバー を育成するなど、つながりを重視しました。

また、CPEを獲得するためのいくつかのクリエイティブな方法を実施し、Chapterのメンバーに報酬を与え、参加率を高めています。CISSPトレーニング、Safe and Secure Onlineのプレゼンテーションを開催し、他の組織と共同で親子向けのサイバーセキュリティ啓発ビデオを作成し、一般に公開しています。ギリシャのサイバーセキュリティアワード2022で、同Chapterが「Public Cybersecurity Awareness」部門で銅賞を受賞しました。

原文記事:
https://blog.isc2.org/isc2_blog/2022/09/announcing-this-years-isc2-global-achievement-award-recipients-part-1.html
https://blog.isc2.org/isc2_blog/2022/09/announcing-this-years-isc2-global-achievement-award-recipients-part-2.html