ISC2 CISSP Report
NTTデータ先端技術株式会社 代表取締役社長 三宅 功 氏, CISSP 工学博士
前号の「CISSP取得推進企業インタビュー」では、NTTデータ先端技術株式会社のセキュリティ事業部セキュリティコンサルティングビジネスユニットの羽生千亜紀氏と、
セキュリティソリューションビジネスユニットの植草祐則氏に、同事業部の事業展開、CISSP導入の目的や今後の取得者増加計画などについて伺いました。
今号では、同社社長の三宅功氏に、経営者の視点からCISSP認定資格推進の意義、セキュリティ人材の育成などについてお聞きしました。知識は実践に応用して展開されてこそCISSPは非常に体系的で実践に役立つ 三宅 功 氏 |
当社は若い会社で、設立16年目(1999年8月設立)です。実質的に現在のようなビジネスに取り組み始めたのは2000年代初頭からですので、今年が15年目になりますね。 オープン系の基盤というものが現時点では広がっていまして、単にサーバーやオペレーションシステムの最適化だけではなく、それを収容するデータセンターの物理的な設計も業務としています。 さらに、子会社のNTTデータ・セキュリティを2011年に事業統合しています。実はセキュリティ分野も基盤構築には欠かせない条件になっています。つまり、IT基盤の電源立ち上げから、 それに必要となるハードウェア、ソフトウェアの最適構成、最終的にはセキュリティ要件までをビジネスとして扱っています。
主な理由は二つあります。一つはセキュリティ事業を始めたこと、もう一つはNTTデータ先端技術という会社をマネジメントしなければならない経営者の立場からの観点です。
経営者の観点から見るとよく理解できます。セキュリティはどうしてもコストがかかる。しかし、ご承知のとおり、昨今はサイバー攻撃の問題も頻発してきていますし、セキュリティの問題を経営者として どのように考えるべきなのかが、ここ数年、私自身の課題でもあったのです。それなら一度、ちゃんと勉強しておこうと、私自身がトライしてみたわけです。
私自身の経歴を話しますと、私はずっとR&D(研究開発)に携わってきまして、この会社に異動になったのが2003年です。その時は会社が立ち上がったばかりで社員が30人もいませんでした。 それから4年ほど社長として歩み、2007年にNTTの持ち株の研究所に戻り、4年間、研究所長を務めました。実はその研究所でもセキュリティは取り組んでいましたので、セキュリティの動向に 関する情報をキャッチできる機会はありました。その後、2011年にもう一度NTTデータ先端技術の社長に戻りました。
社員も少なく、会社が小規模のときは社長の私自身がしっかりと目を光らせ、気を配っていれば、セキュリティに至るまで大抵何でも把握できました。しかし、現在のように会社規模も大きくなり、 社員数が500人を超えると、ビジネスに関わる協同者・パートナーも同数以上になり、千数百人規模を抱えてビジネスを回し始めるようになるわけですから、セキュリティ上も課題が出てきます。
最初に社長に就任して間もなくして、社員数が100人を超えた頃にPマークやISMSを取得しました。しかし、このような一般的な情報セキュリティの枠組みだけではどうしても限界があります。 直面する課題を何とか解決しなければいけないと思い立ち、冒頭に申し上げたように、私自身が専門資格を取得する決断をしました。
実はもう一つ動機がありました。やはりセキュリティ・ビジネスの一端に関わっていますので、お客様の経営トップとも会話する機会があります。昨今の情報漏えいなどの事件をみて分かるように、 結局経営者が何をすればよいのかが理解できていないのが現状です。「ISMSを取得していればよいのか」「ハッカーを雇わなければいけないのか」などと聞かれることがあるのですが、 これらに対してどう答えればよいのかと思案することが問題意識を高じさせる要因になりました。
当社のセキュリティ事業部は、インシデント・レスポンスから、診断、監視などもサービスとして網羅していますので、彼らとも議論しながら、オーバーホールでの知識体系として一度学んでおかないと 話ができないと感じ、資格取得を考えるようになりました。
NTTグループとしてセキュリティ人材強化初級クラス10,000人、ミドルクラス2,000人、トップガン100~200人を目標に 三宅 功 氏 |
私自身、セキュリティ人材の育成に注力することは良いことだと思っています。NTTデータ以外の4社は通信キャリアですから、セキュリティを重要なサービスとして提供している会社です。当社もレベルの高い メンバーを対象にした研修コースを提供するなど、教育面を中心に全面的に協力したいと考えています。
インタビューにお答えいただき、誠にありがとうございました。(インタビュー日:2015年5月)
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